みとせめの夏は幕間、
人肌を忘れた指が、一人で立つことを覚え始めた足が、少しずつ大人びていく。
LULL BEFORE THE STORM
01 ペルセフォネに至る
ルシウスは行き場のない掌をインク壺の隣に落とした。
02 新しい友達
何か知らなくて良いことを知ってしまいそうな気がする。
03 悪阻
ちょっと覗くと、ドラコはベッドの上で箒を磨いていた。
04 あいして、
血と記憶はどちらがより濃いのだろうか。
05 仮面の下の素顔
子供の幸福を願うのは、親として当たり前だろう。
06 平和な朝の作り方
ちょっと親戚の家へ泊まりに行ってたんだ。
07 姫君と王様
頭部がノーガードだ。
08 怖くない暗闇を知っている
男子にしては華奢な肩を揺らして、ゴホゴホやる。
09 世界の欠片
ハーマイオニーが数メートル先で呆れた顔をしていた。
10 マグル育ちの魔法使い
趣味が悪いとハーマイオニーは思った。
11 ありふれた別れ
ハーマイオニーはピシャっと四角四面な返事を口にした。
12 霧の向こう
ハーマイオニーの家というのも、やはり健全な建物だった。
13 たおやかなる食卓
食事をしながらの会話なので互いに沈黙は重くない。
14 あなたのせいじゃない
次に寝坊したら自室を地下牢に移すと脅されていること。
15 二度目の町並み
家族から傷つけられるし、自分が傷つけもする。
16 マイフェアレディ
ルシウスはまだ厭わしげにマネキンを睨んでいる。
17 やがて尽きる明るさ
いや、あれはシェーマスだって面白がっていたではないか。
18 犬も食わない
これで罵詈雑言さえなければ完璧なのに……。
19 互いの無知
明らかな侮辱へセオドールが唸った。
20 めんどうごと
現代・魔法使いジャーナルという分厚い冊子が朝日を遮った。
21 狼の節制
フェンリールは舞う埃から逃れるように身を捩った。
22 赤頭巾の計略
“杖の要らぬ授業”と露骨な蔑視を口にすることもある。
23 笑いながらあなたを手離せたら
何だかんだ言ってフレッドとジョージは面倒見が良い。
24 ものがたりがはじまる
ルシウスはちょっと笑うと男のほうへ向きなおった。
25 双子の杖
ルシウスは呆れた風な視線を寄越すと、頭を振った。
26 老魔術師の肖像
アブラクサスは了承した。
27 知らない誰か
キングズリーはちょっとも表情を崩さないで頷いた。
28 理解と傷の押し付け合い
ハリーは窓から目を逸らし、ごろんと寝返りを打った。
29 マグノリア・クレセント通りの星
黄昏の肩越しに夜が見える頃だ。
30 荒涼の向こう岸
スネイプは紙魚を駆除するための本を買う必要を感じた。
31 虫かごのなかの燃える翅
スネイプは眉間のしわを深くして、浅いため息を漏らした。
32 眠れる窓
ハリーの親戚は、どうもマグルらしい。
33 期限つきの友達
一人ぼっちにならない人なんて、どこにもいない。
34 絶え間なく鈍く輝く嫌み
ハリーはもごもごと、もどかしく言葉を続けた。
35 海辺の王国
この一瞬だけ、本当のことみたいに呟いた。