七年語り – EXTRA STORY
曖昧なものに翻弄される二人

 

 ふたご座のあなたの今日の運勢!
 普段なかなか上手くいかない相手と上手く行くチャンスかも? ちょっぴりお茶目なあだ名で呼んでみると、ぐっと距離が縮む予感!
総合運:★★★★☆
恋愛運:★★★★★
仕事運:★★★☆☆
お金運:★★☆☆☆
ラッキーアイテム:ファッション雑誌
ラッキーカラー:レッド

「そんな真面目な顔して、如何したの?」
「あの……トムって、正式にはトム・マールヴォロ・リドルよね」
「そうだけど?」
「リ、」
「リドル? なんで今更サーネームで呼ぶんだい」
「リド――リドルんっいえそのなんでもないから忘れて! なんでもない、なんでもないわ!!」
「……リドルん?」
「噛んだだけ! 呼びなれないから噛んだの!! 良い、やっぱりいつも通りトムって呼ぶから、忘れて頂戴!!」
「へえ、リドルんねえ」
「何でもないって言ってるでしょう! 噛んだんだってば!!」
「どうせ馬鹿げた占いか何かに影響されたんだろう」
「ちょ、な、えっ」
「双子座の貴女は砕けたあだ名で呼んでみると、ぐっと距離が縮むかもとかなんとか」
「なん、ト、なんで、そんな、ちが、違う、トム、私そんな、も、もう! もう!! 違うったら!」
「答え合わせありがとう。君の分かりやすさは天下一だね」
「違うわよ! 噛んだだけだってば!!」
「素直にそうだって言ったら良いじゃないか。僕との距離を縮めたかったら素直が一番だよ、ダリル」
「縮めたくなんかないわよ! 上手く行きたくなんかないもの! 縮まなくたってぜーんぜん良い! 大嫌い!!」
「自分で勝手に人を変な風に呼んでおいて、一人で照れて、一人で逆切れするのかい。君は本当に器用だね」
「照れてないわよ!」
「それじゃ、熱があるんだ」
「そうよ! もう起きる! 休む!」
「起きたら余計に体が休まらないけど?」
「貴方が私の夢に割り込むから休めないのよ! もう、嫌い! 大嫌い!!」
「はいはい。ほら、熱測ってあげるから額出して」
「び、微熱だから分からないかも」
「そうだね。さっきまで四十度の熱のおかげで顔が真っ赤だったのに、今はもういつもどおりだ」
「……意地悪」
「どっちが。最初から素直に恥ずかしかったんですと言えば良いじゃないか」
「だって……だって、トムにからかわれるって思ったんだもの」
「じゃ、からかわないから何であんな呼び方したか言ってごらん」
「ば、そ、それって同じことじゃない!」
「なんで? 何かしら理由があったんだろう。馬鹿にしないし、からかったりしないって約束するよ」
「分かってる癖に、馬鹿! やっぱり貴方なんて嫌い!!」
「すぐそれだ……」
「だって、だって……だって、トムが」
「僕が?」
「トムと距離を縮めたいって私が思うのが、そんなに面白いの? 馬鹿、嫌い、もう、もう……やだ、もう」
「少し遊んだぐらいで泣くことないだろう」
「トム、トムが馬鹿にするから、私、トムと距離を縮めたいだけだったのに、あの占いが当たるって、ジニーが教えてくれたのに、トムが」
「ダリル、なんか全責任を僕になすりつけようとしてない?」
「してないもん」
「分かった。謝るよ。少しからかいすぎた――でも君も悪いと思うよ」
「悪くないわ」
「そこで断言する? まあ、良いけど」
「ジニーも私も占いも悪くないわ」
「ああ、そう。僕に言わせれば、君はその馬鹿げた占いに頼って僕へ変なあだ名を付ける前に、僕との距離を縮めたいんだって素直に言ったほうがマシな結果を産むと気づくべきだったね」
「……素直になれば縮めてくださるっていうの?」
「小生意気な口を利いているよりかはそうしようって気になるだろうね」
「じゃあ、好き。好きだから距離を縮めて頂戴」
「は? なん、え?」
「ほら、結局そうじゃない。そうやって小馬鹿に、」
「いや、本当に何て言ったんだい?」
「この至近距離で聞こえないはずがないでしょう」
「唐突すぎて言葉として認識出来なかった」
「そうやってすぐにからかう」
「本当に分からなかった」
「知らない。なーんにも言わなかったわ。ラックスパートじゃなくて?」
「ダリル、本当に分からなかったって言ってるじゃないか」
「リドルんって言ったの」
「それじゃなくて、そんなのは如何でも良い」
「如何でも良い? 私、昨日の朝から――」
「今さっき言ったことをもう一度言うぐらい良いだろう」
「そういえば、あの占い昨日のだったわ。もう零時越してるのかしら? そしたら当たらなくって当然ね」
 

曖昧なものに翻弄される二人

 
 


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