七年語り – EXTRA STORY
ウィーズリー家に産まれたい
「もし貴方達の妹に産まれてたら、どんな暮らしだったかしら」
「まず俺は五歳の時に家を出るな」
「早まるな相棒、ダリルお嬢様のほうが我が家の暮らしに耐えかねて、生後三ヵ月あたりで出て行くさ」
「貴方達、私を何だと思ってるの? それに、もしもの話よ」
「ああ、実現してたら俺たちゃ非行に走ってただろうよ」
「産まれた時から一緒なのよ! 当然私だって、かなり……ほら……今は末娘だから少し我儘だけど……そういうの、変わるじゃない!」
「へーえ。我儘でないダリルなんて、ダリルじゃないみたいだ。ロンに双子の妹ねえ」
「ただでさえ女々しいロニー坊やがドール遊びでもはじめっちまいそうだな。あいつの遊び相手はジニーだったし……」
「ママとパパは気づいてないけど、ジニーはあれでロンよりずっとサバけてる。ロニー坊やがテディベアを卒業出来たのはそのおかげさ」
「そして弟を虐めるのが好きな誰かさん二人の後ろ押しもあってね」
「ダリルがロンの双子の妹に産まれてたら、それでもマルフォイにするみたくああだこうだ言うんだろ。ロンの神経がまいっちまうな」
「私……そんなに五月蠅くないわよ。そりゃ、ジニーよりは少しお喋りかもだけど」
「ママは階上から聞こえてくる爆発音だけで手一杯なのに、そこにダリルお嬢様の駄々が加われば屋根裏お化けはまず退去するだろうよ」
「ちょっと言ってみただけなのに!」
「常日頃から君とマルフォイのイチャイチャぶりを見てれば、俺達だってロニーを守りたくなるさ」
「何よ! 私が双子の兄に付き纏うお化けみたいに! ウィーズリー家には一杯上の兄弟がいるじゃない」
「チャーリーとビルか」
「ビルだろ。あいつは如何にもダリル好みだ。ジニーにもベタ甘だったからなあ。ロンにも割と甘い。俺達には厳しい癖にな」
「ああ、部屋の一部をちょいと吹っ飛ばしただけですーぐお説教だ。こないだの窓枠がエジプトまで飛ばなかったのはホント幸いだった」
「ふうん。ビルって人はとってもまともなのね。ね、その人、ハンサムなの?」
「俺とジョージの次の次あたりにはハンサムだろうな」
「大叔母さんがママに『長男以降手を抜きすぎじゃないかえ』ってよく言ってたっけな」
「その人も、よく言うわね。長男次男三男揃って監督生でしょ? 大したものだわ」
「四つ目と五つ目の監督生バッジが貰えなかったんで、ママはガッカリさ」
「まず間違いなくジニーは監督生になるんだから、良いじゃない。ロンは……ロンは、そうねえ、交遊関係の広さと協調性の強さは打ってつけだけど、問題を起こしすぎだから分からないわ。貴方達はどうせ監督生バッジ貰ったってドブにでも投げ捨てちゃうでしょ」
「まあ、鼻くそでも郵送して貰ったほうがずっと嬉しいのは確かだ」
「万一貰ってたら、胸んとこよりは面白い場所にくっつけるだろうな。パーシーの鼻んなかとか」
「マクゴナガル教授の判断が正しいことを裏付けて下さって有難う。パーシーはきっと、私と貴方達を交換出来るならそうしたと思うわ」
「パースは俺達のありがたみを理解してない。退屈な午後に、ちょっとした華やぎとしての爆発音が如何に有益か――」
「そして如何に勉学を妨げて下さるかね。ねえ、ビルとチャーリー、パーシー、貴方達二人、ロンとジニーの……七人兄妹?」
「なんだい、まだ俺達の妹になるのを諦めてないのか? 勘弁してくれ。産まれた時から一緒だったとしても、我が家の男たちを引っかけることで達成しようとしていても、そのどっちも遠慮願いたいね」
「何よ。もし私がビルかチャーリーを引っかける時には是非華やぎ皆無の屋根裏部屋で黙っていて貰いたいものだわ」
「チャーリーは止めとけ、君をあしらえるような奴じゃない。大の男が子供相手に狼狽えてるのが見たいのか? 可哀想じゃないか」
「引っかけないわよ! ただ、ちょっと、兄妹がいっぱいいるのって楽しそうだなって思っただけ。私はドラコと二人きりだし、二人きりで出来ることなんてたかが知れてるわ。ドラコは言うほど私に構ってくれるわけじゃないのよ」
「言うほど引っ付いてるわけじゃないってことか」
「えーえ。箒でビュンビュンするドラコよりかは、部屋にこもって何か爆発させてる貴方達のほうが引っ付きやすいでしょうよ。妹だったら、四六時中貴方達と遊べて良いなって思ったのに、貴方達って私を何だと思ってるの?」
「レシフォールドとヴィーラを掛け合わせた何か。大体、俺達がジニーやロニーと四六時中ベタベタ遊んでるとでも?」
「まあ四六時中ハラハラさせちゃうことはあったな」
「君が妹だったら俺達が四六時中ハラハラさせられる。“もしも”でもお断りだね」
「ケチ」
「他人でいても、こうやって貼りっついていられるじゃないか。それの何が不満なんだ」
「それに他人でなきゃキスは出来ない。なあ相棒、そうだったよな?」
「私はドラコにちゅってするけど? あ、……え? フレッド? 何か私変な事言った?」
「そっちはジョージだ。本当に君は、ドラコお坊ちゃまとの婚姻届はいつ提出するのかな?」
「あっ口にはしないわよ! 頬とか、額とかだけ」
「それを聞いて安心したよ。君にも一応の倫理観が備わってるみたいで」
「何で皆、私に倫理観がないとか道徳観が狂ってるとか貞操観念が可笑しいとか言うのかしら」
「そんなこと言ってるからだろ。俺達から有り難い言葉を引き出せるのは、ほんと君ぐらいのもんだ」
「私も、年の離れたお兄さんが欲しいわ」
「君の頭には壊れかけのレコードか何か詰まってるのか?」
「ちゅってしても、五月蠅く言ってこないお兄さんが欲しいわ。ハンサムで優しくて、包容力があって、ビルみたいな」
「ダリルを招待するのは、ビルがいないときが良いだろうな」
「ビルはいつイギリスに来るの?」
「こない。奴はエジプトに骨を埋めるんだ」
「良いわ、ジニーに聞くから。私、お父様の目を掻い潜って遊びに行く術を身に着けたのよ。半日ぐらいなら、問題ないわ」
「男一人落とすのに半日とは、ダリルお嬢ちゃんも言うねえ」
「本気で迫ればわけないわ! 男を三日で落とす本とか、沢山読んでるのよ」
「それが俺達に全く活かされないのは、一体全体、どんな深遠なる理由があってのことだ」
「落とされたいの? 私に夢中になったら、もう穴を掘らしたり出来ないわよ。大事にしちゃうんじゃない」
「さあ如何だか」
「相棒、言ってやれよ。俺は惚れた女にだって穴掘りさせることが出来るってさ」
「おい、ジョージ」
「痴呆か? 俺は自分の名前はフレッドだったと思うけどな」
「そんなだから彼女が出来ないのよ」
「は?」
「そんふぁらから、やふぇて」
「本当に、妹がジニーだけで良かった」
「ジニーふぁわひゃふぃに、わ、んも、私にお姉さんになって欲しいって言うわ」
「ママ達が大事にし過ぎたせいか、ちょっと世間知らずなとこあるからなあ」
「何よ! まるで私を家族に迎え入れるのがよろしくないことみたい!」
「ま、君を迎えて嬉しいのは夫ぐらいのもんだろうよ」
「夫の家族を三日で落とす本ってのを探さなきゃ」
「俺達だって大抵の鎖は粉々にしてきたつもりだけど、君が自由過ぎて、時々羨ましくならざるをえないな」
七年語り – EXTRA STORY