獣の胎に棲まう

  • うつろ話し

     陽光と言うには少しばかり強すぎる光のなかを、は歩いていた。 彼女のほっそりとした腕に抱かれた息子は三歳になるが、二十歳で身ごもったは、母親としてかなり若い。 二人一緒にいて、年の離れた姉弟のように思われることも決して珍しいことではなかった…

  • うつつ語り

     そうよ、。今日一日どこか出掛けてきたら如何? は私が預かるから、ちょっとぐらい一人で遊んできなさいな。本当はピーターと二人で出かけてきなさいよって言えたらいいんだけどねえ。あの子も本当に何を考えてるのやら……仕事は休みだったと思うんだけど…

  • まほろ、まほろば、ほろほろと

     みどりのひかりが床に映し出されている。床と扉を繋ぐ斜線に割って入ると、私の頬がみどりに染まった。 私が育った家の扉は洒落た造りをしていて、到底実用的とは言い難い。 実用性に乏しい扉ののぞき窓には緑の硝子が嵌められており、そこから見た風景は…


 1994年6月6日 ペティグリュー夫人死亡(享年33歳)
 12年と七ヶ月の昏睡状態から目覚めるも、病室にて自ら許されざる呪いを行使し、死亡。魔法法執行部魔法警察部隊は「見てはいけないものを見てしまったが故に服従の呪いをかけられた可能性がある」とし、他殺の線もあると調べを進めている。
前年に起こったシリウス・ブラックの脱獄との関連も視野にいれ、闇払いも捜査に協力する模様。一日も早い犯人逮捕、そして夫人の無念が晴らされることを祈る。

 なお、聖マンゴ魔法疾患傷害病院側はこの件に対する見解を発表していない。