七年語りLULL BEFORE THE STORM
28 理解と傷の押し付け合い

 

 真夜中というにはまだ少し早く、開け放された窓から見える家々には明かりの灯っているところも多い。今日のニュースをおさらいしながら夫婦水入らず談笑している家もあれば、明日の旅行に興奮して寝られない子供が騒ぐ家もあるだろう。ハリーの部屋から見えるどの窓辺でも人と人とが寄り添い、もしくは居心地の良い部屋の、スプリングの聞いたベッドのなかで、喧騒に摩耗した精神を休ませている。
 不運な事にハリーは一人だったし、服と同様にダドリーのお下がりである部屋は傷だらけで、床板も所々緩んでいる。ベッドこそあったものの、床の上で寝るのと如何違うのか分からなかった。夏季休暇に入ってから暫くは起きる度に体中がしくしく痛んだが、今となっては気にならない。ハリーはスプリングの壊れきったベッドに仰向けになって、夜闇に慣れた目で掲げ持った紙片を見つめた。

 親愛なるハリーへ
 元気にしていますか? 私はとても元気よ。年下の弟とクィディッチをしているので、少し日に焼けたみたい。 
 弟が飛ぶ姿を見るのは楽しいけど、如何してもハリーの箒捌きが見たくなって困っちゃうわ。きっと私だけじゃなく、ホグワーツのクィディッチ狂全員が夏季休暇に飽きてきた頃でしょうね。貴方が飛ぶのを見れるのはホグワーツでだけだもの。
 ママは私をボーバトン魔法アカデミーに入れたかったようですが、ホグワーツに入学して本当に良かったわ。貴方の飛ぶ姿にはそれだけの価値があるし、ホグワーツに入らなければ“生き残った男の子”が厳めしい顔をした詰まらない男の子でないことも知らなかったでしょうから。でもボーバトンでは夏季休暇にどっさり宿題を出されるということはないらしいので、魔法薬学のレポートを書いている時には「ボーバトンへ入学しても、ハリーがクィディッチ選手になりさえすれば遅かれ早かれハリーの飛ぶ姿は見れるのよね……」なんて悩んでしまうの。休暇だなんて言うけど、こんなに宿題があるなら夏季自宅学習期間と言い換えるべきだと思わない?
 ハリーも無事に宿題をやっつけているようで良かったわ。夜にやってるとのことだけれど、あまり根をつめないよう気をつけて。もし新学期までに終わらなくても、マクゴナガル教授はきっとハリーを処罰したりしないと思うわ。スネイプ教授については……その、何とも言えないけど……でも大丈夫よ。だからあまり無理をしないでね。ハリーが体を壊さないかとても心配だわ。
 早く夏季休暇が終わって、貴方が空を駆けるのを見られる日が来ることを祈っています。

 愛を込めて、あなたの紙で出来た友人より。

 ミス・レターからの手紙はもう一週間以上も届いていない。三日前の、ハリーの誕生日にも届かなかった。
 ハリーが返信を送らないで一月も二月も疎遠になったことはあったが、ハリーが手紙を送ってから一週間以内に返してくれないというのは初めてだ。そしてこれこそがハリーの憂鬱の間接的な――直接的な理由にはもっと酷いのがいる――理由だった。かれこれ一年以上も親しい文面を送ってきてくれ、文通を始めて以来クリスマスも誕生日も欠かさずカードと贈り物で祝ってくれた彼女が何故手紙ひとつくれないでいるのか気になって仕方がない。去年、ドビーが邪魔してきた時だってミス・レターの手紙だけは届いた。屋敷僕妖精の魔法からも逃げ切れるような賢い梟が配送ミスを犯すとは思えない。ミス・レター自身がハリーへの手紙を書いていないのだろう。
 怪我か、病気か、それとも手紙を送れないような何かがあったのだろうか? 否、そうであって欲しい。後ろめたいものを感じつつ、それでもハリーはミス・レターに“如何しても手紙を送られない何か”があって欲しいと願っていた。ハリーの知らない誰かと楽しくやっていて、それで自分の誕生日を忘れているのかもしれない――そう思う度ハリーの胃がキリキリ痛んだ。
 ハリーは自分の手の中でたわんでいる文面を伸ばして、もう一度読み返した。やはりどこにも不調を匂わせる文はない。そう落胆してから、元通り丁寧に折りたたんだ。封筒のなかへ戻して、枕の下へ突っ込む。夜風しか入ってくるもののいない窓を恨めしそうに眺めた。

 ハリーにとってミス・レターは“特別”なひとだった。どういう種類の“特別”なのかは分からないものの――彼女から届いた手紙を一時の感情でゴミ箱へ突っ込んだら後で嫌な気持ちになるだろうと思い出せるぐらいには特別だった。ハーマイオニーやロンのような“親友”でもなく、ダンブルドア校長のように尊敬しているわけでもなかったが、彼らと並べて遜色がないように思っていた。
 本音を言えば、同じ学内に暮らしながら一度も会おうとしてくれない人を何故こうも慕っているのか、ハリー自身にも分からない。単なる文通相手じゃないかと言い聞かせても、一度ミス・レターについて考え始めると誰かが切っ掛けでも作ってくれない限り、彼女以外について考えるのは難しかった。切っ掛けを手伝ってくれるひとの一人もいない今となっては、憂鬱はハリーから離れようとさえしない。

 何故手紙が届かないのだろうと思ったのは三日前の誕生日、ロン達からのカードが届いた時だった。自分の誕生日が嬉しいと思ったのは初めてで、最初こそ皆からのカードを眺めるのに夢中だったけれど、少しも経たないうちに自分の胸にある違和感へ気づいた。ミス・レターからのカードを貰っていない。去年だって誕生日当日には届けられないと言っていたものの、ちゃんと断り書きがあり、前もって祝ってくれていた。しかし今年はそのことについて言及されていない。何かあったのかもしれないとは、その時初めて思った。でもハリーだって気まぐれに返事を返したり返さなかったり、それにミス・レターが教えてくれないからといって彼女の誕生日さえ祝った事がないのだから、誕生日当日までに祝って貰えなかったからといって気にするのは子供っぽいと、そう気にしないことにした。
 それが如何しようもなくハリーの気持ちを絡め取るようになったのは、ハリーの憂鬱の直接的な理由ことマージ叔母さんのせいだ。

 マージ叔母さんは従来通りダドリーをけしかけることでハリーに痛い目を見させるつもりでいたようだが、残念ながらダドリー本人が乗り気になってくれないのでオジャンになった。夏季休暇で再会して以来、ダドリーは悉くハリーの存在を無視しようと努めている。殴るどころか視界にも入れたくないのだろう。ハリーいじめが上手くいきそうにないのをマージ叔母さんは大層不満がったが、亀みたいに首を縮めた――本人としては肩を竦めたつもりなんだろう――ダドリーが「こんなのとゲームしたって張り合いがない」と言うので渋々受け入れた。ペチュニア伯母さんが「まあダドちゃん立派になって!」と体を震わせていたが、人生で初めてハリーはペチュニア伯母さんに同意した。いじめをするような人間であるのは変わらないにしても、恐怖を前に居丈高に怒鳴る他出来ないバーノン伯父さんよりかはまともに育つだろう。
 ハリーを肉体的に甚振れない腹いせに、マージ叔母さんの難癖は日を追うごとに激しくなり、下らない罵倒はじわじわとハリーの精神を蝕んでいた。お前みたいなチビ、セントブルータスでも誰からも相手にされないのに決まってる。根っからのクズだ――ハリーは、この家の人々が自分よりもずっと変わってることに薄々気づいていた。それは魔法云々の問題ではない。人間性の問題だ。マグルにとってどんなに魔法使いが異端であろうと、この家の人々に比べればウィーズリーおじさんたちのほうがよっぽどマトモだ。分かりきったことだ。誰だってそう言うに決まっている。そんな変人の気まぐれを気にするだけ馬鹿馬鹿しい。ホグワーツに帰ればハリーには一人の時間がないほど人気者だったし、少なくとも誰からも相手にされないなんてことはなかった。
『最初は同情から一緒にいたって、ちょっと付き合ってみればすぐ分かるさ――あんたが――どうしようもない奴だってね』
 気にすることはない。そうは分かっていても、その台詞はミス・レターに嫌われたのだろうかと悩むハリーの心を抉った。

 やはり嫌われてしまったのだろうか。ハリーは窓から目を逸らし、ごろんと寝返りを打った。枕に耳を押し付け、もう片方の耳を塞ぐと誰の寝息も聞こえない。ハリーは足で毛布を引き寄せると、頭からすっぽりかぶった。目を瞑ればもう何も見えない。世界に一人きりなら少しは冷静になれる気がした。客観的に、大人っぽく物事に対処するに足る余裕が生まれるのではないかとも思った。

 もしミス・レターが、そんな簡単にハリーを嫌いになるような人だったら、一年以上も文通を続けてくれはしないはずだ。嫌われているだなんて、そんなことはない。少し忙しいだけで、ハリーの気にし過ぎなのだ。でも、嫌われていないのなら、何故会ってくれないのだろう。ハリーとミス・レターが逆だったら――要するにハリーがミス・レターが誰か知ってたら、とっくに会いに行っている。

 悶々と考えるハリーの耳に落ち着いた声音が蘇った。「ねえハリー……」ハーマイオニーの声だ。学期末、夏季休暇直前に談話室で話していた時のことだ。何故かチラチラと、談話室の入り口を気にしている風だった。「ミス・レターがダリルだったら、とか思わない?」ミス・レターがダリルだったら? 何でまた急にとハーマイオニーを問いただそうとしたが、ロンが何の話? と寄ってきたので遮られた。渋い顔をするハーマイオニーを余所に事の経緯を説明すると、ロンはケラケラ笑いながら否定した。「筆跡が違うじゃないか」そういえばそうだ。ロンもハリーも、その前の日にダリルのノートを見せて貰ったばかりだった。ダリルらしくもない無骨な文字で、それを指摘するとダリルは「お母様みたいなこと言うのね」なんて嫌な顔をしたっけとハリーは重ねて思い出した。「それにダリルがミス・レターなんだったらとっくに自分で言ってるんじゃないの」とロンが付け足すので、ハリーも納得してしまった。
 あの時は「違うだろう」と結論付けたが、しかし今改めて考えてみると、ミス・レターとダリルは言葉使いというか、言い回しが似ている。「宿題をやっつけている」とか、「夏季自宅学習期間」なんて、如何にもダリルがつかいそうな言葉だ。

 ハリーは魔法界のなかでマルフォイ家がどういう位置づけにあるのかは知らないし、知りたいとも思わないが、ダリルが箱入り娘であるのは知っている。黙っていればお嬢様にしか見えない。喋ったら何もかもが台無しだけど、ハリーは出会った時の高慢そうなお嬢様よりも、今の、フレッドとジョージの後をついて歩くカルガモみたいなダリルのほうが好きだった。刷り込み現象の一種なのか、はたまた箱入り娘にとっては粗暴な言い回しが面白いのか、最近のダリルの口調はフレッド達に影響されている。夏季休暇直前、宿題のリストを前にダリルが「これだけの宿題をやっつけるのは大変だわ」と嬉しそうだったのを、ハリーは覚えていた。今思えば宿題が嬉しいんじゃなくて、蓮っ葉な台詞を言う自分に酔っていたのかもしれない。ダリルが変人であるか否かは置いておくとしても、まあ彼女が独特の言葉使いをすることは確かであり、そう考えるとダリルとミス・レターが全くの他人でない可能性は少なからず存在していると言えるだろう。

 ハリーはダリルが手紙を書いているところを想像してみた。彼女がミス・レターだと言うのなら、何故筆跡を変えてまでハリーを騙すのだろうか。ハーマイオニーはダリルがミス・レターであることを知っていて、ダリル本人から口止めでもされているのかもしれない。
 ハリーはため息をついた。毛布と目蓋に覆われた視界と同じで、何も見えなかった。

 ハーマイオニーから問われるまでもなく、ハリー自身「ダリルがミス・レターだったら良いな」と思っていた時期があった。あれはいつ頃のことだろう。ハーマイオニーと仲良くなって、すぐの事だった。その頃のダリルはロンが言うように高慢そうで、いつも一人でいた。グリフィンドールへ組み分けられたのが不満なのだというのが皆の意見だった。ハリーも、まあそれに近いことを考えているのだろうなと思っていた。それでもハリーはダリルが自分の冗談へ笑ってくれたのを覚えていたし、ドラコの妹だと知った時はショックだったけど、それでも完全に嫌っていたわけではなかった。だから誰がミス・レターだったら良いかと考えたとき、ダリルの顔を自然に思い浮かべた。
 でも今はダリルでない別の人が良いなと、そう思っていた。

 ダリルがドラコを大事に思っているのはハリーだって知っている。自分と異なる意見を持っているから気に食わないというわけではないが、もしミス・レターがダリルだったら、自分は結局ミス・レターの一番にはなれないということだ。空を飛ぶのが上手いだけの、単なる友達。いや、最初からそれ以上になりえないことなどハリーだって分かっていたはずだ。ミス・レターは単なる文通友達。ホグワーツへ戻ればハーマイオニーやロン、かけがえのない親友がいる。ふざけあえる友達や自分を見守ってくれる教員達、尊敬するダンブルドア校長がいて、それ以上何を望むと言うのだろう。ミス・レターがいなくたって、ハリーの生活は十分に充実したものだ。

 これ以上何を求めるのか。ミス・レターからの手紙に何を望んでいるのか。ハリーは薄ら思い浮かんだことに顔を歪めた。馬鹿馬鹿しい。下らない感傷だ。ハリーは自分のことを可哀想だとか寂しがりのちっちゃな子供だと思われたくなかったし、思いたくもなかった。
『家族がいて、それで――僕のことを気遣ってくれたら、こんな風なんだろうなって思うんだ』
 ハリーはダリルへ自分がミス・レターを如何思っているか話したのを後悔した。ダリルを前にすると、時々自分でも何を言っているのか分からなくなる。それで今みたく、後から思い出しては嫌な気持ちになった。ダリルを前にすると、自分が彼女とどうなりたいのか、如何思って欲しいのか分からなくなる。彼女に生き残った男の子と思われるのも嫌だったけれど、かといって天涯孤独の寂しい子供のように思われるのも嫌だった。ハーマイオニーやロンといる時のように自然に振舞えたら良いのに、如何振舞えば良いものかとまごつく。

 ダリルと如何なりたいのか時々考える。本音を言えば親しくなりたい。もっと親しくなれるはずだとも思っていた。

 フレッドやジョージと仲良くしているのを見るに、ハリー達が何かしらやらかすのも手伝ってくれるだろう。ハリーは好き好んでやらかしているわけではなかったが、ヴォルデモートが存在している限り普通の学校生活に甘んじる気はなかった。あの男を放って置けない。そう思っているのはハリーだけではないはずだ。ダンブルドア校長だってそうだろうし、ヴォルデモートの昔の学用品をばらまいていたルシウス・マルフォイにしたって、知らんぷりを決め込むことはないはずだ。ヴォルデモート一人のために多くの人間が翻弄される。
 ハリーはぎゅっときつく目を瞑った。傍には誰もいないのに、悲しそうな声が聞こえる。「ハリー、私がやったのよ」聞きたくないし、思い出したくもなかった。「私がやったのよ、ハリー。私がダンブルドア校長の足止めをしていたの」やめてくれ。「貴方は英雄だわ」そんなんじゃない――僕は、僕はどこにでもいる子供だ。ヴォルデモートを倒したのは父さんと母さんで、僕はただ母さんに守られたから生き残った。それ以上でも、それ以下でもない。一年生の時にヴォルデモートを倒したのはハーマイオニーやロンが一緒にいてくれて、そしてダンブルドア校長が賢かったからだ。僕が英雄だからじゃない。僕と同じ立場に置かれれば誰だって同じ選択をするに決まってる。僕が凄いんじゃない。僕が特別だからじゃない。ダリルはそういうことを分かってないんだ。僕は正義じゃない。別にダリルがヴォルデモートに少し騙されたからといって嫌いになったりしないし、ルシウス・マルフォイが奴の手下でも気にしない。

「……気にしてるのは君じゃないか」ハリーは世界中の誰にも聞こえないよう、低い声で呻いた。
 自分がどこに産まれたかなんてことを気にして、周囲と距離を置いて、いつだってドラコに遠慮している。いや家族との亀裂が決定的なものにならないよう常に怯えていると言ったほうが正しいだろう。ダリルがドラコの妹であること、その親がヴォルデモートに仕えていることはハリーにとって如何でも良い。自分の家族がヴォルデモートに組みしているからと、いつか自分から離れて行きそうだと思わせる余所余所しさが堪らなく嫌だった。ダリルが自分と一定の距離を置きたがっているのは、ハリーも分かっていた。ダリルだけでなく、ハリーもダリルと距離を置くのを望んでいた。ダリルと真剣に向き合うと、いつだって嫌な気持ちになった。それは彼女の前で感情的になってしまうからではない。感情的になって、自分の弱い部分が露わにされても、ダリルが守ってくれることはないと分かっているからだ。
 自分を害することがない代わり、守ってくれることもない。ハリーにとってのダリルはそういう存在だった。
 ダリルが自分を如何思っているのかは分からない。話していて楽しいけれど、避けられる時があるし、ハリーも避けることがある。ダリルはハリーに自分の本心を語ることがない。如何でも良いことしか話さない。やはりドラコより優先されることはないだろう。ダリルは純血主義者ではないし、またそのことで散々な目に合わされもするが、彼女を否定することのないグリフィンドールの友人達よりも片割れのほうが大事なのだ。そう思わされるたびに理解出来ないと、仮にも友人である彼女を残酷に切り捨ててしまいたくなる。血が繋がっているというそれだけで、如何して奴らに肩入れするのだと問いつめたくなる。そうやって傷つけてしまわないよう、距離を置くのだ。

 ミス・レターがダリルだったら、ハリーは如何するだろう。多くのことを問い詰めるだろうと思った。そしてダリルはハリーの追求を嫌がるに決まっていた。少し考えただけでも面倒くさい。如何でも良いで済ませられないのに分かり合えないから、面倒くさかった。

 ハリーは成人になり次第この家を出る。そうして二度と帰りはしないだろうし、会いたいと望むこともないだろう。例え血が繋がっていても自分の考えを理解しようともしない人と共に過ごしたいとは思えなかった。庇いたいとも思わない。しかしダリルは違うのだ。ハリーはダリルが家族に拘るのが気に食わないし、そうまでして不愉快な連中に固執する理由が分からない。フレッドやジョージ、ハーマイオニー達がいれば十分じゃないだろうか。事実、ハリーはそれで不足を感じたことがなかった。そりゃ、夏季休暇は最低な気持ちになる。でもホグワーツへ戻って、いつか魔法界で独り立ちすればダーズリー一家になんかいなくとも楽しくやっていけるに決まっていた。
 早くホグワーツへ戻りたい。そうすればハーマイオニーやロンがいるし、手紙だって好きに出せる。

 開け放たれた窓からは相変わらず夜風以外の誰も入ってこない。ハリーは最低な気持ちのまま、誰もいない眠りへ落ちて行った。
 

理解と傷の押し付け合い

 
 


七年語りLULL BEFORE THE STORM