七年語りPHILOSOPHER’S STONE
37 グリフィンドール寮の生徒

 

 ダリルは最後まで渋ったけれど、フレッドとジョージが引きずっていくので嫌々――見たくもない成績発表の掲示を見ることになった。

「僕らにはなんで嫌がるか分かんないけどな」
「駄目。絶対目を開けないわ。言っておくけど、絶対によ……」ダリルはぎゅっと目を瞑って、抗っていた。
「流石学年五位さんの台詞は違うな」
「ああ、トップ以外は皆恥ずかしい成績なんだろうよ」
「うそ――そんな」
 フレッドとジョージがダリルを茶化す言葉に思わず目を開けると、上から五番目にダリルの名前があった。魔法薬学以外は平均点を上回っている。変身術と呪文学が平均点より少し上で、他は皆満点だった。ダリルは自分が夢を見ているのではないかと思った。ホグワーツに来て、最初のひと月は落第することをあんなに恐れていたのに、なのに、試験の結果は五位。落第とは程遠い、素晴らしい成績だ。

 ぼーっと掲示を見ているとフレッドがダリルに抱きついた。両目をぎゅっと瞑っている。「駄目」ダリルの声音を真似た。「絶対目を開けないわ。言っておくけど、絶対によ……絶対に下から数えたほうが早い順位だなんて知りたくない」ダリルはぷっと吹き出した。
「そう、可愛い相棒には、お前が百三位だなんて絶対に教えられない……」ジョージが難しい顔をして頷いた。
「貴方達、勉強をしているより、人に悪戯している時間のほうが多いんじゃないの」
 ダリルはフレッドの耳を引っ張って言った。「悪戯っていう科目があったら、きっと貴方達がぶっちぎりで一位ね」
「勿論さ。ま、でも良いんだ。僕ら将来……」
 二人が目配せしあった。
「何? 何なの? 教えて!」
「ダリルの知りたがりと来たら、僕のズボンの中を覗く勢いだ……」
 すっとぼけたジョージの首元にあるネクタイをダリルがぎゅっと掴む。
「身ぐるみ剥がされたくなかったら教えなさい!」
「おーこわ。相棒、教えてやれよ」フレッドがにやにやと二人のやり取りを見ている。
「そうだな。こんなとこで全裸になったら、一体誰が僕に惚れるかわかりゃしない――僕ら、将来悪戯専門店を作るんだ」
「まあ!」
 ダリルがジョージのネクタイを掴んだままでぴょんと跳ねた。

「それじゃ、試験に手を抜いたって良いはずね! 羨ましいわ。私も、本当は勉強なんてしたくない」
「じゃ、ダリルが次のテストで最下位だったら僕らの店で雇ってやるよ」
「店番か、客引きか……客引きのほうが良いだろうな」
「そりゃ良い。きっとわらわら客が来るぜ」
 フレッドがジョージの案に賛同した。ダリルを単なるチビか、もしくはタヌキのように扱っている二人だが、一応ダリルの容貌が整っているのは分かっているらしい。しかしダリルは口を尖らせた。下働きではなくて、もうちょっと良い仕事が欲しい。
「さあ、如何しましょう。時給次第ね――就職先の一つとしては、考えておくわ」
 ツンと高飛車な口調で言い返した。
「お嬢様を雇うのは大変だな……。しかし、いい加減ネクタイ離してやんないと、ジョージが雇うどこの話じゃなくなってるぜ」
 ネクタイの隙間に指を入れようともがくジョージを見て、ダリルはぱっとネクタイを離した。頬を染めて、すまなそうに眉を寄せる。
「ごめんなさい。私、つい夢中になっていて……」
「おいフレッド」
 ジョージが若干青ざめた顔で、フレッドを呼び寄せた。耳元に口を寄せる。
「こりゃ、運営陣に加えなきゃ殺すって意思表示だぜ……」
「聞こえてるのよ!」
 ダリルはポンとジョージの足を蹴った。ジョージは大げさに痛がり、フレッドはその頬を抓っている。全くもって愉快だった。

 三人が仲良くなってからまだ三日ほどしか経ってないが、ダリルはすっかり二人に溶け込んでいた。ダリルだってドラコという双子の兄がいる。それで何かしら、双子同士二人と波長があったのかもしれない。
 三人がぎゃあぎゃあ騒いでいるのを見て、グリフィンドール寮生達どころか、ハッフルパフ寮や、レイブンクロー寮の生徒達も目を丸くした。物憂げに佇んでいるだけだったダリルが――見るからに薄倖の美少女と言った風だったダリルが、ホグワーツきってのトラブルメーカーと一緒に楽しそうに笑っている。尤もその三つの寮の驚きもスリザリンのそれとは比べることも出来なかっただろう。
 スリザリンの男子生徒は口ぐちにドラコを問い詰めたし、パンジー達はドラコにダリルが野蛮だとか零していた。しかしドラコはダリルに対する問い合わせの全てへ鬱陶しそうに「放っておけ」と返すだけで、ダリルを罵ったり、二人と付き合うのを止めようとはしなかった。

 フレッドとジョージとじゃれあっている三日間で、ダリルはリー・ジョーダンと仲良くなり、アンジェリーナ・ジョンソンとも仲良くなった。皆年上だったけれど、授業がない今となってはそんなことは全く気にならなかった。
 ダリルは始めて得た同性の友人をこよなく好いていた。何しろフレッドとジョージが今からスネイプの部屋にクソ花火を打ち上げに行くぞ! と言った時でさえダリルはアンジェリーナと離れるのを渋っていたのだから……。
 仕方なくダリルを置いて出て行った二人は、スネイプの部屋でこってり絞られるという楽しい午後を過ごしてきた。

「ダリル、ホグワーツ特急で私に会ったの覚えてる?」
 アンジェリーナがダリルの顔を覗きこんで、にっこり笑った。
 クィディッチ選手らしく、少しボーイッシュな髪形をしているアンジェリーナだが、それが逆に彼女の快活な魅力を引きだしていた。
「マルフォイを探して、不安そうな顔をしていたよね。私、お兄さんが来るまでここで待ってましょうって誘ったんだよ」
『ホグワーツにつくまでここで過ごせばいい。ついたら、きっとお兄さんのほうから探しにくるよ』
 ダリルは思い出した。五つ目に覗いたコンパートメントで、明るそうな少女が空いてるシートを指して、引きとめてくれたのだった。
「凄く不安そうだった。雨の中の子犬みたいね。私、犬飼ってるんだ。それで、君のことがずっと気になってた」
 胸の内に温かいものが広がるのを感じた。
 やはり殻に籠っていたのはダリルのほうだったのだ。
「その、私、アンジェリーナのことを友達って呼んで良いの……?」
「勿論!」
 にっこり笑うアンジェリーナはダリルが今まで見た誰よりも綺麗だった。

 そうやって、こんな時間がずーっと続けば良いのになと思った瞬間に一日は一秒の時間が経つよりあっという間に過ぎ去ってしまう。
 ダリルはアンジェリーナに荷造りを手伝ってもらいながら、夏の間手紙を送ることを約束した。

 手紙――と言えば、ダリルはあれからハリーの返信を受け取っていないし、ハリーへ手紙を送ってもいない。ズキンと胸が痛んだが、白紙に戻っただけだとダリルは思った。もう一度、きちんとやり直せばいい。

 洋服ダンスは空っぽになり、来た時と同じように、一年を過ごした部屋は急に他人然として、寂しい景色になってしまう。布団も枕もシーツもないし、ダリルの制服も、教科書も、レディのかごも、ブラシも、何もない。部屋のなかに素のベッドが四つ十字に並んでいた。
「ダリル、急いで、馬鹿達が待ってるわよ!」
 アリシア・スピネットが扉から顔を覗かせて、快活に笑った。後からやってきたアンジェリーナが、部屋のなかでトランク片手に佇むダリルに手招きする。「一番良いコンパートメントを独占しようね!」ダリルはアンジェリーナのウインクに笑いながら部屋を出た。

 女子寮から談話室に続く階段を下りると、フレッドとジョージがフロバーワームを口いっぱいに咀嚼して、一枚の紙を覗きこんでいた。
「またこれだ」
 フレッドが呻いた。
「如何したの?」
 ダリルがトランクを持って、とんとんと二段飛ばしで降りていく。ジョージが談話室の入り口を指した。マクゴナガル教授が手に一杯の注意書きを持って、通りがかった生徒に一枚一枚渡していた。
「こんな注意書き、配るのを忘れりゃ良いのにっていっつも思うんだ……」
 大げさな悲嘆に暮れるフレッドに、ダリルは声を出して笑う。
「私がマクゴナガル教授だったら、そのトランクのなか一杯に詰めたでしょうね」
「ダリルの言うとおりだね。誰に渡すのを忘れても、君達に渡し忘れることはないだろうな」
 五人で呻いたり、笑いながら、談話室を横切って、入口で出るのを待つ列の最後尾に付く。「ダリルのせいで、僕ら立ち乗りかな」フレッドがぼやいたのを、アンジェリーナがぎっと睨む。
「女の子の支度が終わるまで待つのは男子の義務だよ」
「何が女の子だ……チビと男女ふた」続きを言う事は出来なかった。アリシアがジョージの頭を叩いたし、ダリルも彼の耳を引っ張った。
「私がチビで、アリシアとアンジェリーナが男女だったら、貴方達は案山子だわ」
 アンジェリーナとアリシアは「よく言った」とダリルを撫ぜる。和気あいあいとする少女達に、ジョージは「ちぇっ贔屓しやがって……」と、患部を押さえながら呻いた。ダリルはべーっと舌を突き出してジョージを煽った。
「ダリル、女性がそういうことをするものではありませんよ」
 びくっとして振り向くとマクゴナガル教授が笑って、注意書きを差し出していた。ナルシッサに叱られたのだと思って吃驚してしまった。
「ほら見ろ。やっぱりお前らは女じゃないんだ……」四人は再び不毛な論争を始めた。
 ダリルも加わろうと思ったものの、自分へと注がれる視線に従い、黙ってマクゴナガル教授を見上げていた。

「素晴らしい一年を過ごしたようですね」

 一瞬ダリルの瞳に暗いものが浮かんだが、すぐに消え去る。ちらっと四人のほうを振りかえったダリルはもう悲しそうではなかった。
「ええ、マクゴナガル教授」
 ダリルはとびきりの笑みを浮かべて頷いた。
「私――グリフィンドールに入りたいって思って、本当に良かった」
 マクゴナガル教授はもう一度ニコッと笑うと、ダリル達から離れて行った。

 舟に乗るにも、もうダリルは一人ぼっちではなかった。
 人数制限のおかげで、一人だけ置いてけぼりにされたフレッドは、ホグワーツ特急が動き出してもまだブツブツ言っていた。

 フレッドは最後までコンパートメントはとれないんじゃないかとか言っていたが、当初の目的通り六人掛けの広いところを取ることが出来た。アンジェリーナとダリルとアリシアで並んで座り、向かい側にフレッドとジョージが座った。
「なんか悪いな。僕達ばっかり広くて……」
 言葉とは裏腹に嬉しそうなジョージ。アンジェリーナがふんと鼻息を荒くした。「そんならウッドを呼ぼうか?」
「おいダリルこっちこいよ……レディ様方は二人で悠々と座りたいそうだ」
「そんなこと言ってない。ただ、貴方達がちょいばかし私達の荷物を横に置いてくれたらなあとは思ったかもしれないわ」
 にやっと笑ったアリシアが、自分の手提げかばんをフレッドに押しつけた。フレッドが不満そうに呻く。しかしアンジェリーナが自分の、四角くなっているハンドバッグを見ながらぼやけば(そうだ。私の鞄、本がぎっしり入ってるんだっけ)、もう二人は文句を言わなかった。

 五人が車内販売を冷やかしたり、冷たい魔女かぼちゃジュースや蛙チョコレートを楽しんだり、下らないことできゃあきゃあ騒いでいる内にホグワーツ特急は鬱蒼と生い茂る森を抜けていった。田園風景の中に立っている案山子を追い越すと――遥か遠くに蜃気楼のようなビル群が見え始める。ダイアゴン横丁さえ歩いたことのないダリルは車窓に貼りついていた。
 蛙チョコを頬張るフレッドの隣で、ジョージがそう言えばとポケットをまさぐる。
「これ、ダリルのだろ」
 あっとダリルは小さい声をあげた。すっかり――すっかり忘れていたが、そういえばハリーから貰ったリボンを仕舞った覚えがなかった。荷造りの時に一応探しはしたが、幾ら探しても出てこないので、失くしてしまったのだと諦めていた。
「ほら」
 ジョージがダリルの手にリボンを握らせる。ダリルはなんて言ったら良いか分からなかった。

「有り難う……でも、そんなに大事なものじゃないのよ」苦笑した。「安物だし、色も明るすぎるし……」
 ダリルにとってこれが大事だったのは、ハリーが、自分を友達だと言ってくれたハリーが自分に贈ってくれたからだ。でも……
「それに、こういう色は似合わないから」
「そう?」アリシアと爆発スナップに興じていたアンジェリーナが口を挟んだ。「そんなことない。ダリル、ちょっと横向いてごらん」
 ダリルに何か言う暇も与えず、アンジェリーナはさっとリボンを奪う。腕に嵌めていた髪ゴムを使ってダリルの髪の毛を一つに纏め、高い位置でポニーテールにした。ゴムのところに巻いた赤いリボンで蝶結びを作る。
「へえ」蛙チョコレートの足を口から出して遊ぶのに飽きたらしいフレッドが、感心したような声を出した。「似合うじゃないか」
 アンジェリーナは我が事のように胸を張って、踏ん反り返る。
「思った通りだ。ダリル、赤だってすっごく似合うよ」
「その……有り難う」
 ダリルは照れ臭そうににっこり笑った。
 袖の下で腕に巻きついていたレディが不愉快そうにぎゅっとダリルの腕を絞めたが、気にしなかった。

 幾つかマグルの駅を過ぎて、ホグワーツ特急の速度が緩くなる。
 交代交代で私服に着替えあった五人は(レディの支度のおかげで二十分も外に追い出されて、フレッドはまた憤慨していた)座席の上の棚から荷物を下ろし、人ごみにえいやっと紛れ込んだ。最初こそ五人で固まってたが、コンパートメントから人が出てくるくる度に分断されて、最早フレッドとジョージの赤毛さえ見えなかった。このままお別れかと思えば寂しくなったが、手紙を送ると約束しあったし、何よりもまた九月になれば四人に会える。ダリルは寂しくなんてないわと自分に言い聞かせて、ようやっと出口に辿りついた。
 後は降りて、両親を探すだけという段になって、またハプニングが起こった。トランクが上手く下ろせない。
 どうも扉の幅よりもやや大きいようだった。行きに乗ったものが降ろせないはずもないし、単に向きを変えればいいんだろうけど、背後の人の多さとその重さから手間取ってしまう。一向に持ちあがらないトランクに、段々ダリルは焦ってきた。焦ると尚更上手くいかない。
 こんな時にフレッドかジョージが居たら――そう思った瞬間、不意にダリルのトランクが魔法みたいに浮き上がった。

 視線をあげたダリルは言葉を失った。ダリルのトランクを持ち上げているのは、ハリーだった。

「手、捕まって」
 ハリーは上手い具合にトランクを斜めにして下ろすと、まごついているダリルの手を取って、降りるのを手伝ってくれた。
 二人して、他の生徒の邪魔にならないよう脇にどく。プラットホームは人で一杯だった。二人は何となく手を繋いだままで、複雑そうな顔を見合わせている。手伝ってくれて有り難う。この間はごめんなさい。
 そう言おうとしたが、口は動かなかった。
「この間は、ごめん」
 先に沈黙を破ったのはハリーだった。
「僕、あの事絶対に誰にも言わない。それに、僕――君の事、多分」
 ダリルはその台詞の続きを言わせなかった。空いてる手でハリーの口を塞いで、ううんと首を振る。
「私……ずっとホグワーツ特急で貴方に助けて貰ったのに、有り難うって言いたかった」
 そしてハリーの頬にキスするとダリルはトランクを手にとって、ハリーに満面の笑みを浮かべる。

「有り難うハリー、私とっても嬉しかった!」

 そう言うや否やダリルはニンフのように可憐な動きで、滑るように人ごみに紛れてしまった。
 ハリーは頬を押さえたまま固まっていた。自分の頬が赤い事にも、ハーマイオニーとロンが人ごみをかき分けて近づいてくるまで気付かなかった。「如何したのハリー、貴方真っ赤よ。人ごみに当てられたんじゃないの!」ハーマイオニーが素っ頓狂な声で指摘する。
「まあ……そんなようなもんだよ」
 不意にハリーは人ごみに消えたダリルの姿を思い出そうとした。翻るプラチナブロンド、その中に赤いものが見えた気がした。
「当てられたのは、別のものにじゃないの」
 にやっとロンが笑うのに噛みつくことへ意識が逸れてしまって、ハリーはそれ以上赤い何かを気にしたりはしなかった。

 人ごみをかき分けて両親とドラコの姿を探しながら、ダリルはにっこり笑っていた。
 素晴らしい友達が沢山出来たし、尊敬できる寮監がいて、何よりもダリルにはハリーがいる……! これでにっこり笑えないなら、一生何があってもしかめっ面したままに決まっていた。何もかももう一度始めからすればいいわ。晴れやかな気持ちでダリルはそう思った。
 頭がこんがらがって、もう駄目だって思って、それで立ち止まっても、もう一度最初から全てやり直せばいい。

『き、き、君はそういう物に興味が、あ、あるのかね』
『はい。クィレル教授の専攻は魔法生物で、こちらのほうはお好きじゃないですよね』
 ふたりが何を話してきたか考えよう。そうして、もう一度始めるの。もう一度、私は、クィレル教授に憧れよう。繰り返し、クィレル教授のようになりたいと望むだろう。私は何も失ってない。“私”は失ってない。人波をかき分けながら、ダリルはそう自分に言い聞かせる。
 ダリルの胸からクィレルとの思い出を奪える者は誰もいない。例えヴォルデモートにだって、ダリルの思い出を汚すことは出来ないだろう。自分の見たものが全てだ。死も裏切りも、ダリルの胸に影を落とすことは出来ない。
 ダリルに己の思考を言葉にする爽快さ、耳を傾けて貰う喜び――他人から期待を掛けられる誇らしさを教えてくれたのはクィレルだった。
 クィレルの前では、自分が産まれ損ない以外の何かじゃあないかと思う事が出来た。それだけで良い。それだけで良かった。
 
 プラットホームの隅に自分と同じ髪色をした片割れを見つけたダリルは「ドラコ!」と叫んだ。ダリルの声に気付いたドラコがこちらを向く。声の主を確認すると旨い具合に人を避けて、傍に来てくれた。「遅かったじゃないか」
「トランクが重かったの。ドラコこそ、割に早かったわね」ドラコはダリルの手からトランクを奪い取った。
「いつだってお前ほどまごついてはないさ……ほら、父上と母上が待ってるぞ」
 二人は自然に手を繋いで、両親のほうへと駆けて行った。

 長い夏季休暇が始まる。
 

グリフィンドール寮の生徒

 
 


七年語りPHILOSOPHER’S STONE